「すべての苦しみが取り除かれる」
『般若心経』(はんにゃしんぎょう)の一節です。般若心経の正式名称は『般若波羅蜜多心経』(はんにゃはらみつたしんぎょう)といい、あらゆるお経の大事なところを集めた、お経の中のお経です。
この「般若波羅蜜多」とは、真言(しんごん・悟りの境地に辿り着かれたお釈迦様の言葉)の中でも特に尊い教え、真言の中の真言、智慧(ちえ)の中の智慧のことをいいます。つまり、よくよくお釈迦様の教えを学んで智慧を完成させれば、あなたの感じているすべての苦しみから解放されますよ、と、このお経は説いているのです。
お経とはお寺でお坊さんがあげる特別なもの、と思っていらっしゃる方も多いかもしれません。しかし、この般若心経は宗教の別を問わず私たちが毎日唱えることのできる、オールマイティなお経なのです、実は。その証拠に、般若心経の心経奉讃文(しんぎょうほうさんもん・序文や前書きのようなもの)には、こんな一節があります。
「神前にては宝の御経、仏前にては花の御経、まして家のため、人のためには祈祷の御経なれば…」
お仏壇やお墓の前だけでなく、神棚の前であげたり、キリスト教徒が読経したり、日々鼻歌のように口ずさんだっていいわけです。
我が家では昔から般若心経に馴染みがあったので、家族全員、暗唱することができます。大学で仏教の授業を受講したとき、毎回挨拶がわりに般若心経の音読があったのですが、高らかに暗唱してしまったので目立ってしまいました(笑)
今でも、特に乳がんから復活した後はその御礼と今後の健康への願いも込めて、毎日一巻、先祖の命日など特別な日には五巻、お仏壇の前でお唱えしています。そのおかげで日々心身ともに健やかに穏やかにいられるのだと思っています。(不真面目で不精進なため時間はバラバラ、お経はカミカミですが) お腹から声を出すとシャキッとしますし、活力が湧いてきます。
お経は、持経(じきょう・持つこと)、読経(どきょう・読むこと)、写経(しゃきょう・書くこと)どれも功徳があると言われています。また、初めは意味がわからなくたっていいんです。興味をもったら、どれでもいいから取り組んでみることが大事。それが「一歩踏み出す」ってことですよね。ですから、読経や写経を日々の生活に取り入れるのも、心がかるくなる方法のひとつと思います。
最近では100均でも写経セットを売ってたりもしますしね。ただ、私が見かけた時は一番下の棚の、さらに他の商品の下に埋もれていたので、そういうお店で買うのはオススメできませんが…
この言葉で心がかるくなった人にオススメ
仏師・籔内佐斗司氏による難波がたりの般若心経意訳本。写真を眺めるだけで癒される童子の像と大阪弁の解説で、ほっこり楽しく般若心経を学べます。ポケットサイズ。
作家の立松和平氏監修。経文部分は隅寺(すみでら・現在の奈良海龍王寺)に伝わる「隅寺心経」をもとに紺地に金泥で編集しており、その美しさは必見です。Kindle版もあるようですが(マジか)この本に関しては、というか経本ですから、紙媒体でのご購入を強くお勧めします。こちらもポケットサイズ。
最も平易な言葉で訳されている般若心経かもしれません。横尾忠則氏の画とともに楽しむことができます。瀬戸内寂聴氏の訳なので個人的には俗物感満載な印象でした(笑)